海心堂の温泉逍遥

日本一のおんせん県おおいた(別府八湯温泉道、奥豊後温泉文化伝)を中心に、九州の温泉(九州温泉道)の入湯記録

地獄ハイキング 「別府~朝見コース」参加レポート(後編)

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地獄ハイキング 「別府~朝見コース」参加レポート

温泉マイスター シニアマイスター  甲斐 心也


 さらに南に進むと目の前に急な崖が現れました。これが朝見川断層の断層崖です。樹木に覆われて露頭を見る事は出来ませんが、扇状地が正断層によって沈み込んだことが実感できます。



 断層崖を上る坂道をたどって行くと、素晴らしい眺望が開けます。一番手前に日豊本線の線路、市立南小学校、朝見川、市街地の街並みが広がっています。ヘアピンカーブを曲がってさらに登ると、断層崖の露頭がありました。下層には水成堆積層の浜脇層があり木の葉の化石が出たりしますが、その上に約60万年前に噴出した由布川火砕流の堆積物が見られます。





 朝見川を渡って「永石温泉」で一休みです。毎日の記者さんが別府の温泉資源保護などについて、竹村先生に取材をされていましたが、どんな記事になるのでしょうか。



 永石温泉から竹瓦温泉に向かう途中に「後藤理髪店」の看板を掲げる古い建物があります。ここの二階が住宅地図最大手の「ゼンリン」の発祥の地です。

 ()ゼンリンのHPによれば、

1948年(昭和23年) 4月 創業者 大迫正冨らが別府市に後の善隣出版社を創業

  1949年(昭和24年) 6月 創業初の刊行物、観光小冊子年刊別府を発行

  1952年(昭和27年) 6月 初版住宅地図別府市住宅案内図を発行」

と、創業期の歴史が記されていました。



 流川通り4丁目に「伊能忠敬測量碑」があります。江戸時代の別府の主要街道は、小倉街道で、この碑のあるのがそこに当たります。碑文には以下ように記載されています「往時この街角に高札場あり徳川幕府禁制を掲ぐ 文化七年(二月十一日)伊能忠敬来りて測量をなしこの処に国道元標を建つ 江戸日本橋より二百六十三里(1052KM)この元標より西一丁目に庄屋宅ありと」



 日本最古の木造アーケードの竹瓦小路を抜けて「竹瓦温泉」に到着しました。竹瓦温泉は1878(明治12)年に創設された別府温泉を象徴する市営温泉です。現在の建物は1938(昭和13)年に建設されたもので、文化遺産オンラインHPによれば、「中央は入母屋造の2階建で,1階が休憩所や脱衣所,2階が床・棚付の畳敷大広間になる。浴室は東側に突出する平屋建で,西側の寄棟造の平屋建は砂風呂になる。変化に富んだ外観や正面の唐破風玄関など,重厚かつ豪華なつくりで,温泉街の象徴的な存在である。」と説明されています。



 竹瓦温泉の裏手に「波止場神社」があります。20194月に「神様、仏様、稲尾様」とよばれ、西鉄ライオンズで鉄腕投手として活躍した稲尾和久氏のモニュメントができました。生家が神社のすぐ近くで、子供の頃は境内でキャッチボールして遊んでいたご縁で、ここにモニュメントが設置されました。



 駅前通りを上ると「伊予銀行別府支店」があり、そこに天然温泉の手湯があります。かつては銀行内に行員用のお風呂があり、その源泉として掘削されたのでしょう。今では湯温が下がり、手湯として通行人に提供されています。湯口では二酸化炭素の泡がぷかぷかと立ち上っています。この界隈に炭酸泉があったという記録があり、その名残のようです。



 ここまでで今回の全行程を完了しました。北浜海岸通りを巡るコースは省略しましたが、それでも10分の時間オーバーでした。参加者の皆さん本当にお疲れ様でした。


 次回は秋の開催で、9月、10月、11月を予定しています。新コースを続々と登場させる予定ですので、奮ってご参加ください。

地獄ハイキング 「別府~朝見コース」参加レポート(前編)

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地獄ハイキング 「別府~朝見コース」参加レポート(前編) 

温泉マイスター シニアマイスター  甲斐 心也

 NPO法人別府温泉地球博物館主催の地獄ハイキング2019年度の春第3回は、平成31年6月16日(日)、「別府~朝見コース」での開催でした。前夜の激しい雨も上がり、時折強い風の吹く中での開催でしたが、そのおかげで汗ばむ事もなく、快適なハイキングになりました。

 13:30にスタート地点の「別府駅西口」に集合した参加者は、ガイド役の京大名誉教授の竹村恵二先生、事務局の杉本さんとご一家、親子4人で参加してくださった方々など総勢10人に、毎日新聞の記者さんも参加されました。



 スタートしてすぐに電柱の海抜表示板の説明がありました。駅西口あたりで海抜は11.8mです。「ここの地面は」との注意書きがあり、細部にまで気配りされているなぁと感心しました。別府では海抜15mまで避難すれば、まずは安全と言われますので、ここはもう少し山側に避難する必要があるようです。



 画像はありませんが、コース途中の民家に「別府石」の石垣がありました。正式名称は「角閃石安山岩」といいます。「別府石」の説明は、別府温泉地球博物館のHPの「別府温泉辞典」から引用します。「かつて別府のいたるところには、鶴見岳をはじめとする火山から、火砕流や土石流として、流れ出してきた安山岩がころがっていました。現在も、道路工事や宅地造成などで土地を掘り返すと、安山岩の転石がたくさん出てきます。人びとは、それらを別府石と呼んで大事にし、いろいろな石材に使ってきました。 

 

 幸通りに出て、別府市公会堂の前に着きました。幸通りは別府市街地の東西の中間地点を南北に貫く通りですが、北から南に緩やかに下っているのが見て取れます。別府市街地が、西から東になだらかに下る扇状地であることはよく知られていますが、実は南の朝見川断層方向にも下っているのです。



 別府市公会堂の前庭に「千辛万苦の場」が移築されています。ここは明治の元勲「井上馨」が攘夷論者の志士に襲われケガをし、療養のため別府に来た際に隠れ住んだ建物です。慶応元年(1865)に流川通の旅館「若松屋」に逗留した井上は、地元の灘亀親分の子分として匿われました。井上はその恩を忘れず、明治44年に別府を訪れ灘亀の墓前に手を合わせ、「千辛万苦の場」の書をここに掲げました。



 別府市公会堂は1928年(昭和3年)に竣工した現存する鉄筋コンクリート造りの建物としては県内最古のものです。設計は逓信省の吉田鉄郎で、ストックホルム市庁舎を参考にしたと言われています。平成26年に大規模な改修工事が行われ、かつてシンボルであった正面の大階段が蘇りました。



 朝見川にかかる御幸橋に到着しました。朝見川は三面コンクリート張りの二級河川です。別府市には主として6つの河川がありますが、一番北の冷川を除いてすべてこの工法が採られています。川を直線化し、3面をコンクリート張りにする工法は、生物の生息場所を奪い、景観としても味気なく、親水性に欠ける残念な工法です。



 朝見川とその支流の鮎返り川は別府市の水道の水源として貴重なものですが、「鮎返しダムは、昭和20年の敗戦後、進駐軍が別府市にキャンプ・チッカマウガを建設したとき、米軍キャンプに給水するため造られたダムだという。(中略)別府市はしかたなく大分川の水に頼るようになったそうだ。今でも水源の主力は大分県企業局が水力発電したあとの水だが、鮎返しダムの水も発電所の点検のときや台風で水が濁ったときは放流されて水道水になるという。(三浦祥子著 「地獄ハイキング随行記」より)」 別府市の水道事業の秘話をご紹介しました。


後編につづく

大分温泉 キャセイホテル

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4-2/255
 その他の温泉 大分県大分市賀来中河原1261-1

大分温泉 キャセイホテル

 

♨食塩泉と土類泉がブレンドされたもの♨

 

平成31年6月15日訪問

 

 大分市の西部、賀来地区にあるビジネスホテルの大浴場です。浴場はホテルとは別棟で、そのくたびれ具合が秀逸です。

 湯はかつて「九州温泉道」に選定されていたほどの名湯で、成分総量8g超のかなり強めの食塩泉と土類泉がブレンドされたものです。なんとも表現しにくい湯色で、日光に照らされると薄緑色で、照明の下では黄土色に見えます。



 自噴泉の源泉は51.4℃あり、一切手を加えることなく注がれ、身も引き締まる熱さです。入浴料が値上げされたようですが、ソープもシャンプーもなし、かなり老朽化した施設で強気ですねぇ。



 湯が熱いせいばかりでなく、浴後は体がだるくなり、湯当たり状態になるのでご注意下さい。



 

【分析書データ】ナトリウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩泉、51.4℃、PH7.2、成分総量8497mg、無色・澄明・弱炭酸味・塩味・殆ど無臭、25L/min

 

入浴料 400円


長湯温泉 やすらぎの宿 かどやRe

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171
 奥豊後温泉文化伝 No.36

長湯温泉 やすらぎの宿 かどやRe

 

♨遊離二酸化炭素が1020mgの二酸化炭素泉♨

 

平成31年6月8日訪問

 

 改めて分析書データを見ると、ここは二酸化炭素泉なのですね。遊離二酸化炭素が1020mg、炭酸水素イオンは2740mgですが、湯温が51.3℃と高いので、それほど炭酸味は感じられません。



 露天風呂もあるのですが、これは混浴です。4室だけの小さなお宿とはいえ、温泉旅館としては物足りない感があります。


 露天に入ってみて吃驚、浴槽の床がヌルヌルしており、湯面には湯垢のような物が漂っているのです。内湯は清掃されている様でしたが、露天は数日は洗われていないのではと疑いました。



 

【分析書データ】含二酸化炭素-マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉 51.3℃、PH7.0、成分総量5412mg、HCO3-2740mg、弱黄色・弱白濁・微弱金気味・殆ど無臭、85L/min 20/4/30

 

入浴料 150円(湯めぐりパスポート半額)

七里田温泉 木乃葉の湯

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 奥豊後温泉文化伝 No.5

七里田温泉 木乃葉の湯

 

♨湯面にはカルシウム成分が冷え固まったものが浮遊していました♨

 

平成31年6月8日訪問

 

七里田温泉といえば「日本一の炭酸泉」との呼び声の高い「下の湯」で、「木の葉の湯」に入らせてもらうのはずいぶん久しぶりです。

 浴室に入ると無人で、不思議な形をした浴槽に重炭酸土類泉が掛け流されています。湯面にはカルシウム成分が冷え固まったものが、浮遊していました。寒い季節には薄氷状態となり、足で踏み割る感触がたまりません。





 屋外には露天風呂とうたせ湯があります。清掃が行き届いていないのか、コケが浮いていて興ざめしました。




 ここをはじめ重炭酸土類泉は石灰華が特徴で、付着した様子が汚く見えなくもないので、徹底した清掃が必要ではないでしょうか。

 

【分析書データ】マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 54.2℃、PH6.8、成分総量4390mg、黄濁色沈殿・金気臭・金気味 1997.02.26 HCO³2080 CO₂572

 

入浴料 300円