海心堂の温泉逍遥

日本一のおんせん県おおいた(別府八湯温泉道、奥豊後温泉文化伝)を中心に、九州の温泉(九州温泉道)の入湯記録

地獄ハイキング 「明礬~小倉~照湯コース」(後編)

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地獄ハイキング 「明礬~小倉~照湯コース」(後編)


明礬温泉地熱地帯とアボイド・エリアの温泉発電所を歩く


温泉マイスターガイド・レポート



 大分自動車道の明礬大橋の下をくぐり、「さわやかハートピア明礬の遊歩道」に向かいます。明礬温泉の泉質と言えば、酸性泉や硫黄泉、緑礬泉や明礬泉が挙げられますが、ここの屋内大浴場は単純泉です。明礬は地表近くに地熱があり、十分な水と出会うことなく噴気として地表に出てきます。わずかな水に溶け込んで湧出するのが、先にあげた4つの泉質になります。

 

 地下の深いところには、塩化物泉や炭酸水素塩泉などの高温度の湯があると思われますが、ボーリングによる掘削が厳しく制限されているため、そのような泉質の湯はあまりありません。

 遊歩道には熱泥が噴出する所や、硫黄泉の溜まった池などが見られます。


 





 国道を渡った先の急坂を上ると、「鶴見やすらぎ霊園」の入り口近くに源泉があり、盛んに噴気を放出しています。この噴気の様子から、鉄輪温泉のようなナトリウムー塩化物泉ではないかと思いましたが、よく見ると硫黄泉のようです。ただし、噴気造成をここで行っているようです。

 その向こうの丘の上にはANAインターコンチネンタルホテルの建設現場を見ることができます。







 小倉の集落を抜けて石畳の階段を下ると「照湯温泉」に着きました。ここはゴール地点ですが、皆さんお疲れの様子でしたので、小休止をとりながらここをガイドしました。

 







『鶴見七湯廻記』大分県立歴史博物館蔵

 

 天保年間に豊後森藩が照湯開発を行った経緯については、「別府温泉地球博物館」のHPの「お話の佃煮 江戸時代にあった地獄蒸し料理(三浦祥子著)」を引用します。

 「鶴見山の麓の温泉地帯を持っていたのは森藩(久留島氏)でした。この地域の明礬温泉では染色や皮のなめしに欠かせない明礬が採れ、森藩の貴重な財源になっていました。実際の製造を行っていたのは脇屋儀助という庄屋で、幕府領の野田と森藩領の鶴見で明礬製造をし、両方に冥加金を納めていたわけです。ところが、一時は日本の70%を超えるシェアを持つ独占企業になっていた脇屋家(現在の明礬湯の里のオーナー)も天保の改革で一気に力を失います。天保の改革が独占権を奪ったからでした。  1841~43年に行われた天保の改革。独占権を失くした脇屋家は凋落し、明礬製造は幕府領のものも森藩の預かりになりました。  それまでも明礬の製造は藩の重要な財源でしたが、天領のものまでそっくり森藩の支配に!  それでうれしくなったから、というのは庶民の下司のカングリかもしれませんが、天保の改革と同じ1841年に森藩は『照湯(てるゆ)』という大型観光温泉施設を建設しはじめ、翌42年に完成させています。  茶屋や遊女街まで備えた、今で言えば観光温泉保養ランドの『照湯』が完成するとさっそく、殿さまがこのあたりの温泉地の魅力・珍しい行事などを記録し宣伝するため絵と文を家臣の江川吉貞、伊島重枝に命じます。そして3年後に完成したのが『鶴見七湯廼記』なわけなのです。」

 

 下流の祓川に架かる橋を渡り、住宅街の急坂を上り詰めた所に「温泉バイナリー発電所」が林立しています。










 昭和43(1968)年に、大分県は温泉資源保護のため、特別保護地域、保護地域を新たに指定するとともに、距離規制や動力による揚湯量の制限など、現在の礎となる規制内容が審議基準として制定されました。

 特別保護地域とは、原則として新規の掘削を認めない(代替掘削を除く)、「別府市南部特別保護地域」・「別府市亀川特別保護地域」・「別府市鉄輪特別保護地域」をいい、保護地域とは、源泉から100メートル以内と、噴気・沸騰泉から150メートル以内の新規掘削を禁止する(既存の源泉を掘り替える代替掘削は可能)、北浜や浜脇地区などを含む南部保護地域と、鉄輪地区などを含む北部保護地域をいいます。

 しかし、保護地域以外では規制がなく、平成30年に別府市は条例の制度強化に踏み切りました。「熱源の伽藍(がらん)岳と鶴見岳に近い明礬温泉の一帯や鉄輪温泉の一部地域などを、開発を避けるべき「アボイドエリア」に指定。掘削する場合は事業者に▽地熱資源調査▽モニタリング▽関係者らへの事前説明会―などを義務付け、市への報告を求める。」(2018/6/8大分合同新聞朝刊)としています。(※avoidとは避ける、回避するという意味です。)


 環境省の発表によれば、2016年12月現在、全国の地熱・温泉発電所で運転を開始しているのは43施設で、そのうち大分県内には17施設があります。別府市には11もの施設があり、そのほとんどが堀田地区と小倉地区なのです。


https://www.env.go.jp/nature/onsen/council/chinetsukaisei/chinetsukaisei1/sanko5.pdf

 

 条例を作った別府市や温泉発電等対策審議会が「アボイドエリア」という言葉に込めた思いには奥深いものがあります。むやみに禁止するのではなく、自然科学的知見と地域への十分な説明のもとにおいてのみ許可を下し、それが不十分な場合は「当面は開発を回避する」というものなのです。

 


 今回のハイキングはこれで終了ですが、これから鉄輪温泉の地熱観光ラボ「縁間」に移動し、足湯に浸かりながらビールで乾杯です。温泉談義に花が咲き、楽しい時間が過ごせました。





 

 次回は来年の春になりますが、日程は別府温泉地球博物館のHPで告知します。次回もどうぞよろしくお願いします。

海心堂

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